R-1ヨーグルト・ドリンクには、R-1EPSと呼ばれる成分が含まれています。
EPSは菌外多糖体とも呼ばれていて、R-1EPSはOLL1073R-1と呼ばれる細菌によって作られます。
今回はR-1EPSの概要やその効果、免疫のしくみを解説していきます。
R-1に含まれるEPSについて、興味がある方は参考になさってください。
R-1のEPSって何?
R-1のEPS(R-1EPS)はOLL1073R-1株が作り出した菌外多糖体です。
多糖体は糖が鎖状になった物質であり、特に菌が作り出す多糖体は菌外多糖体(Exopolysaccharides, EPS)と呼ばれています。
OLL1073R-1株は乳酸菌の一種であり、株式会社明治が販売しているR-1ヨーグルト・ドリンクに含まれる成分です。
R-1という商品名は、このOLL1073R-1株に関連付けて命名されました。
【参考サイト:株式会社明治 OLL1073R-1株が作り出す多糖体「R-1 EPS」が自然免疫に作用、新型コロナウイルスの増殖を抑制することを細胞試験で確認~第76回日本栄養・食糧学会大会および第18回日本食品免疫学会学術大会で発表~】
R-1EPSには健康を保つ上で役立つ効果が確認されています。
次の項目でそれらの効果について解説していきます。
R-1EPSの効果
R-1EPSの効果は風邪の予防をはじめとした免疫力の向上です。
一般的な風邪の要因であるウイルス、さらには新型コロナウイルスが増えるのを抑える効果も報告されています。
これはR-1EPSが人の免疫に作用し、ウイルスの活性を抑えた結果であると考えられています。
人の免疫については次の項目で解説するので、そちらを参考になさってください。
【参考サイト:株式会社明治 OLL1073R-1株が作り出す多糖体「R-1 EPS」が自然免疫に作用、新型コロナウイルスの増殖を抑制することを細胞試験で確認~第76回日本栄養・食糧学会大会および第18回日本食品免疫学会学術大会で発表~】
免疫のしくみとは?
免疫は人の体に入り込んだウイルスや病原体、細菌などの異物を排除するメカニズムを指す言葉です。
自分の細胞と異物を見分けて、後者を取り除くことが特徴的となっています。
人の免疫は自然免疫と獲得免疫に大別されます。
自然免疫
自然免疫はオーソドックスなウイルス・細菌の特徴を確認したのち攻撃し、それらから身体を防ぐしくみです。
白血球の一種である好中球やマクロファージなどが、体に入った病原体を攻撃します。
過去に感染したことがないウイルスや細菌にも、対応できるのが特徴的です。
【参考サイト:厚生労働省 ワクチンと免疫のしくみ ー 新型コロナワクチン3回目はなぜ必要?】
獲得免疫
一方で獲得免疫は自然免疫と比較し、より効率的に異物の排除を行えます。
理由として獲得免疫で活躍する細胞の一部が、記憶細胞に変化するためです。
記憶細胞があることによって、二度目以降の感染時に異物の排除がよりスムーズに行えます。
病原体に攻撃を行うB細胞や、B細胞のサポートを行うヘルパーT細胞などが獲得免疫の役割を果たします。
獲得免疫を活用した医療行為に、ワクチン接種が挙げられます。
無毒化・弱体化したウイルスを意図的に体の中に取り込むことによって、獲得免疫を入手するのです。
【参考サイト:厚生労働省 ワクチンと免疫のしくみ ー 新型コロナワクチン3回目はなぜ必要?】
感染予防に効果的
つづいてR-1EPSにインフルエンザや、細菌性肺炎の予防効果が確認されていることを紹介していきます。
R-1EPSにこれらの効果があることは、2022年11月に開催された第69回日本ウイルス学会学術集会にて、報告されました。
またこのことは科学雑誌である、『Letters in Applied Microbiology』にも掲載されたのです。
①インフルエンザ予防
R-1EPSに確認された効果の1つ目がインフルエンザの予防です。
ヒトの肺由来の上皮細胞を培養し、一方にはR-1EPSを付与し、もう一方にはR-1EPSを加えていないものを用意しました。
これらの培養細胞にインフルエンザウイルス(PR8株[H1N1])を感染させたのち、6時間経過後の細胞内のウイルス数を計測したのです。
その結果、R-1EPSを付与した培養細胞内にて、インフルエンザウイルス数の減少が確認されました。
このことからR-1EPSがインフルエンザウイルスの感染に影響していることが明らかになったのです。
②細菌性肺炎を予防
確認された2つ目の効果は細菌性肺炎の予防です。
インフルエンザウイルスの感染をきっかけとして、呼吸器が細菌感染を起こしてしまい、重い細菌性肺炎へと発展してしまうケースが報告されています。
前の項目で紹介した培養細胞の研究にて、インフルエンザウイルス数の減少だけでなく、黄色ブドウ球菌の付着量の減少も確認されました。
黄色ブドウ球菌は肺炎の要因の一つである細菌です。
これは黄色ブドウ球菌が肺細胞に付着する際に活用される因子が、R-1EPSの付与によって減少したことが、原因ではないかと考えられています。
【参考サイト:株式会社明治 OLL1073R-1株が作り出す多糖体「R-1 EPS」がインフルエンザウイルス感染予防効果と、重度の肺炎の原因にもなる細菌の二次感染リスクを軽減することを細胞実験で確認~第69回日本ウイルス学会学術集会で発表~】
以上が第69回日本ウイルス学会学術集会にて報告されたR-1EPSの効果です。
次の項目ではR-1EPSの今後や、EPSが含まれる食材について解説していきます。
EPSに今後も期待出来る?
2022年6月に開催された第76回日本栄養・食料学会大会と、同年11月に行われた第18回日本食品免疫学会学術大会にて、R-1EPSとコロナウイルスの関係性について発表されました。
R-1EPSがコロナウイルスを抑制する可能性が指摘されたのです。
コロナにも効果ある?
R-1EPSがヒトコロナウイルス229E、新型コロナウイルスWuhan変異株(D614株)、そしてオミクロン株(BA.5株)の増殖を抑える効果が確認されました。
ヒトコロナウイルス229Eは風邪の原因である病原体の一種です。
上記のウイルスに感染した肺細胞に対して、R-1EPSで刺激した白血球を培養し、その上ずみを観察しました。
その結果、いずれの株のウイルス量も有意に減少したことが確認されたのです。
このことからR-1EPSが人の自然免疫・獲得免疫に作用し、ヒトコロナウイルスの抑制に寄与したのではないかと予想されています。
【参考サイト:株式会社明治 OLL1073R-1株が作り出す多糖体「R-1 EPS」が自然免疫に作用、新型コロナウイルスの増殖を抑制することを細胞試験で確認~第76回日本栄養・食糧学会大会および第18回日本食品免疫学会学術大会で発表~】
EPSに含まれる食材って他にある?
最初の項目で紹介したようにEPSは細菌類が作り出した多糖体です。
R-1EPSはR-1ヨーグルト・ドリンクに配合されていますが、EPS自体はキノコ類や海藻類、発酵食品に含まれています。
EPSが含まれる食材はナメコやキクラゲ、昆布のほかに、わかめ・モズクです。
カスピ海ヨーグルト、納豆にもEPSが含まれており、これらの食材を活用し、健康的な生活を送りましょう。
【参考サイト:麹発酵黒豆搾り 「ヌルヌル」「ネバネバ」がカギ! 腸を元気にするEPS】
まとめ
R-1EPSの概要やその効果、免疫のしくみなどを解説してきました。
R-1に含まれるEPSについて、理解を深められたのではないでしょうか。
R-1に含まれる注目成分EPSって何?をまとめると
・R-1EPSとはOLL1073R-1株と呼ばれる乳酸菌が作り出した多糖体である。多糖体は糖が鎖状につながった物質となっている
・免疫は自然免疫と獲得免疫の2種類が存在する。自然免疫と比較し、獲得免疫は効率的に体に侵入した異物を排除できる
・学術大会にて、R-1EPSにはインフルエンザや細菌性肺炎の予防効果があると発表された。またコロナウイルスの抑制効果の可能性があることも示唆されている
ということがあります。
鉄分が配合されているヨーグルトや、砂糖が使われていないドリンクなど、様々なR-1が販売されています。
R-1に含まれるR-1EPSには免疫の向上をはじめとした、有益な効果が確認されており、日頃の介護に活用したいところです。
要介護者の状態にあわせてR-1ヨーグルト・ドリンクを選び、日々の介護を行っていきましょう。